第67話

「……もう送ってくださらなくても結構です、バス停に行かせてください……」



俺様的な感じはしたけれど、まさかこんな風に女を追い込むなんて想像してなくて、

正直、ちょっと足、震えてた。



「キス位で何ビビってんだよ? 思春期じゃあるまいし」



「キスだけじゃすまされないような雰囲気を出してるからです」


「満月は男を変えるからな」


「つまんないこと言ってないで離してください」


「こういうの興奮しないのか?」


「彼氏ならですねっ」



本当にそうだ。

まだ付き合ってもいないのに。



私の手首を掴んでいた右手が、制服のリボンを引っ張り始めて、その不安がリアルなものへと変わる。



「ちょ、こんなところで正気ですか?!」


「こんなところってなに? お前の元彼、山口とはどこでヤってたんだ? ラブホばっかりか?」


「そんなこと言う必要ありま… っ…」


声が張ってきたところで、また、覆い被さるようなキス。




今度は尖った舌先が私の口の中をかき乱していた。

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