第66話
まさに覆い被さるような唇。
久しぶりに感じる男性のザラリとした肌。
温かい頬、こそばゆい湿り。
あっという間に力が抜けていく。
身長差、およそ三十㎝。
長いキスは、私の首も門口の首にも負担をかける。
「ま、まだ返事もしてないのにっ」
顔を背けて、ミントの香りのする門口の唇から必死に逃れる。
「キスから気持ちが高まることだってあるだろ?」
「そんなことより、ここ、歩道から丸見えです。 ハレンチなお化けがいたって噂になりかねませんよ」
「あー、それはオープン前から良くねーな」
笑った門口は、私を抱きかかえるようにして、現場の隅の簡易トイレの裏へと移動。
まだ抵抗する私の両腕をしっかりと押さえ込んで、フェンスの方へと押し付けてきた。
ドキドキを通り越して、ちょっと怖くなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます