第64話

「……そうですね」


空と時計を見る。


あー……また、ペコの散歩行けないや。


「バスがここから無いなら送ってやるし」


「送迎代、取りますか?」


「取らねーよ」



仕事とは別で、私は門口にドレスの代金の借りを返してない。


そのうえ送ってもらうなんて……、




「付き合いたい、と思ってる女を送りたがらない男なんていないだろ?」




……それも、アリなのかな?


門口の、仕事じゃない時の顔を見たらそう思えてしまう。




「じゃ、会社に電話しますね、そして今日のうちに光建設への請求額を正式に出力してもらいます」




不気味なほど真っ暗になった建設現場で、所長へ連絡をするために、スマホを握る。



途端に、




「えっ」




背後から門口に抱き締められた。

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