第60話

「全社員一同となって改心いたしますので、どうかもう一度…」



頭を下げる所長をシカトして、会議室から出て、ヅカヅカと帰っていく門口。



その時、やっと私と目が合った。

そして、


「経理の森山さん」


「は、はい」


経理ではないんだけど、やや怒りの消えた目で用件を言われる。




「一旦、年間リース破棄したから、開始日から今日5時までのレンタル料として請求書出し直してください」


「え」



そんなことすると、光建設が大損じゃないの?



「この間の不備の分も考慮して数字打ち直して」



うわ、面倒臭い。



「は、はい……」


荻田のバカ。

どの機械を何台、何日間リースしたかとか、そういうの全部把握してるんでしょうね?




「なんなら、今現場にある機械のアワーメーターと稼働表を見てもらってもいいけど」



そう言ったのは現場監督だった。



「それなら後でファックスで流していただければ……」



わざわざ見に行くなんて嫌だよ。今から行ったら何時になることやら。




「そんなに遠くないんだから、面倒くさがるなよ、アクセスリースは残業代出るんだろ?」



私の心を読み取ったかのような門口の返し。



所長を見ると、″行け″ と顎を動かしている。



これ、荻田の仕事だと思うんだけど。




半ば強引に門口の車に乗せられた。

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