第50話

克己の嫌味とも取れるその言葉を聞いて、カァッと顔が熱くなった。


そうだ。

私、克己と会う時は普段着ばかりで、こんな女らしい格好とかしたことなかった。


それで許されると思ってた。

元がこれだし。



……脱ぎたい。



脱いでしまいたい。


こんな不似合いのドレスなんて。



自然とうつ向いていると、



「男に合わせてドレスアップしたりドレスダウンするのは自然な事だろ? ゲームキャラのティシャツなんかより、ずっとこっちの方が似合ってると思うけどな、俺は」



門口が、克己の気分を更に害するような返しをした。




「克己くん、もういこーよー」


歪んだ表情のまま、克己は彼女の手を取って店から出て行こうとした。


ひとつ、


「新しい彼氏さんが次男だったらいいな」





″お前じゃ誰とも結婚出来ないよ″




そんな意味の言葉を残して……。







「門口さんは、本物の彼女いないんですか?」

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