第43話

こんな若くて美人な、お見合い相手。


写真を見て断ったって?


門口の女の趣味って変わってるの?




スレ違いざま、その女性に目をやることもなく、門口は私の肩を抱いたままホテルを後にした。



「大丈夫なんですか? あんな両家の顔にドロを塗るようなことして」



さっきの門口ママの怖いくらいの視線が忘れられない。



「強引に日取りまで決めたあのババァが悪いんだ」



さきほどよりも更にパワーアップした親への悪態。



男の人ってみんなこうなのだろうか?




「悪かったな」


「……あー、いえ」


まだドレス分も仕事してない気するけど。



「まだ寒いのに、いつまでもそんな格好させて」



「え? 」


突如、門口が自分の着ていたパーカーを私に羽織わせた。


急に優しくされるとどうしていいか分からない。



「あ、あのっ」



ドキマギしてるのを悟られないように、会話の糸口を探す。



「なんで、私の年齢まで知ってるんですか?

誰かに聞いたんですか?」




そもそも、偽装彼女になんで私を選んだの?


あなたなら、よりどりみどりでしょ?

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