第44話
「調べたからだよ」
「は?」
門口は、特に悪びれた様子もなく、さらりと返事をした。
「調べるとかコワっ、何でそんなこと?」
思わず、門口の側から離れる。
「前の会社を退社して地元に戻ってきた途端、両親は自分達に都合のいい縁談話ばっかりするようになってたから、こうやってぶち壊してくれる女を密かに探してた、普通の女を」
「……はぁ」
確かに私、普通過ぎるくらい普通ですけど。
「それなら前もって言ってくださいよ」
「タイミングだよ、たまたま電話取った奴がお前だったってだけ」
あー、そういえば、今日、始めは飲み屋の女に電話かけたって言ってたもんね。
それにしても、ペコをだしにして私を誘き出すあたり、……やっぱりこの社長、侮れない。
再び、門口の車に乗った途端、グゥゥゥ!とお腹の虫が鳴った。
さすがにちょっと恥ずかしい。
朝から何も食べてなかったことを思い出した。
早く帰りたい。もしくは何か食べに行きたい。
ちらりと訴えるような目を門口に向けたら、
「俺も腹空いたな。今日の〆に飯付き合えよ」
イケメン社長もお腹が空くらしく、遅くなったランチを取ることに。
あ。 そだ。
ドレス着っぱなしだった。
これ、まだ汚したくないな。
せっかく買って貰ったのに。
「あの」
「なんだ」
「そろそろ元の猫ちゃんティシャツに着替えても…?」
「それだけは無理、牛丼屋にも入れない」
無理って……。
元彼の克己とは、これ着て出掛けたりしたけどな。
やっぱり、克己は偉大だったのかも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます