第37話

しかも、しっかり入った肩パットが現代感ゼロ。


これ在庫にずっと残ってるやつじゃないの?


そう思えるスーツを、



「清楚なお客様には、ぴったりですってー」


何が何でも売り付ける気の店員。


あー、イラっとする。



「け」 「お呼ばれ結婚式では、基本、地味な生地の黒はマナー違反なんだけどな」




″結構です!″


そう言おうとしたら、背後から助け船。


電話を終えた門口が、腕を組んで私と店員のやり取りを眺めていた。





「残り僅かな二十代のお祝いの席なんだし、もう少し華やかなの勧めてやれよ」




まともなご意見。



「……っ、そ、そうですよね」



屈辱的な顔をするハセジュンぱりの店員。



それにしても、この門口。


出会ってから私のこと、アラサーだとか年齢に沿った、とか教えてもないのに私が28歳だということ分かってるみたいだ。




「これなんか、似合いそうだけどな」

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