第24話

久しぶりに見るマニュアル車のギア。

パニクってるところへ、門口社長がヘルメットを脱いで助手席に乗り込んできた。


「な、なんですか?」



接近した門口から、フワリと大人の香りがした。


多分、VVLGARIだ。



「今から別の現場を見に行かないといけないんだ。丁度そこのダンプ空いたからそれここに回す。アクセスリースまでの途中だから乗せてけよ」



「だからぺーバーだって言ってるじゃないですか?! 」


帰社だけでいっぱいいっぱいなのに、お客様乗せて寄り道なんて恐ろしくて出来ない!



それなのに、




「死ぬときは一緒だな」



門口は悠々と長い足を組んで発進を待っている。



「縁起でもない」


「安心しろ、大怪我して身体が不随になったら責任持って面倒みてやるから」



ドキッ。


なに、それ。




「……プロポーズですか?」



ちょっとトキメいたじゃないの。



「そんなわけないだろ。いいから早く動かせ」


「本当に知らないですからねぇ」



久しぶりの運転、プラス俺様社長様の送迎。


半端ないドキドキで、ハンドルを握る手は汗をかきまくっていた。




……てか。


ダンプ運転出来るんなら、あなたがしたらいいんじゃないの?


心の中で軽く突っ込んでいた。

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