PM 18：00。

今日も早く帰れたから、ペコのお散歩に行ってあげよう。

勿論、あのドッグランのある公園までは行くつもりはない。

ベンチャー企業の社長がいつもこの時間に散歩させているわけないんだけど、念のためだ。

「ただいまー」

自宅に着くと、お父さんの仕事車があるのに玄関に鍵がかかっていた。

外に掛けてたリードが無いところ見ると、どうやらペコのお散歩に行っているらしい。

今日はそのまま夕飯が作れるな。

「……と、郵便物」

家に入る前にポストに手を入れて、郵便物を確認。

ハガキがきてる。

あー、まただ。

【結婚式の招待状】

今度は誰だ？

「おー、ふーちゃんか」

高校の時のクラスメート。

最近は結婚ラッシュだなぁ。

そのハガキを何気に下駄箱に置いていると、

「……ッン！ワッン！」

お父さんとペコがお散歩から戻ってきた。

「ハァ……ッハァッハァ！」

私とのじゃれ合いもそこそこに、部屋へ上がって水を飲みに行くペコ。

そのフリフリの可愛い尾っぽに見とれていると、

「真樹、また、先越されちまうな」

お父さんの呟くような声で、一気に気持ちが萎えた。

さっき置いたばかりのハガキを見てしまったようだ。

「真樹は、もう山口くんには会ってないのか？」

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