第18話
「儲かってる癖に、破格のリース料金要求してきたぞ、あの門口社長!」
門口 青を見送ったあと、所長はとても渋い顔をしていた。
「一体いくらで? そして決まったんですか?」
あの性悪男のことだから、足元みてきたんでしょうよ。
伝票を入力しながら、所長の愚痴を聞く。
「あの西海道路でも一般の七割で貸し出してるのに、あの若造、5割で言ってきた」
「年間月極めででしょ?」
「それだけじゃない、発電機からフィニッシャーからコンバインドローラーまで、突発的な日極めのリースも全部その割引で、だ」
「えー、それ、うち赤字じゃないんですか?」
コスト削減がモットーらしいからそうなるとは思ったけど。
「それがちゃんとうちの経常利益やら調べ上げてだな、″アクセスリースさんは原価のない商品で儲け過ぎです″ と突っ込んできやがった」
「あー、確かにうちの機械、使えるけど古いですもんね」
「そう、どっかの誰かさんみたいにな」
グサッ。
所長、絶対、私のこと言ったよね?
「とりあえず商業施設建設の年間リースだから逃すとデカイもんで決めたんだが、
担当の営業を江島にしようとしたら、あっちから断ってきた」
「一応、うちのエースなのに?」
と自分で言ってる勘違い野郎だけどね。
「なんか気に入らないんだと、で、当分俺が対応することになったから不在の時は森山、よろしくな」
「よろしくって、私ただの事務員ですけど」
「お前、やらせれば何でも出来るじゃないか、荻田や池本よりも使える、ちとトウが立っているがな」
「所長、そのうち訴えますからね」
「あはは、楽しみにしてるよ」
笑ってるけど、半分本気ですから。
「あー、そして、門口社長がお前のこと言ってたぞ」
ドキッ。
な、なにを?
まさか犬の散歩中の話じゃないでしょうね?
「……なんてです?」
「珈琲の淹れ方だけは上手そうだって」
「″だけは ″っ?」
「お前の他なんか、なんも知らないだろーにな」
「……そうですょ」
誉め方もいちいちムカつく。門口め。
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