第13話

お昼ご飯をコンビニで買って戻ってくると、新入社員の大島さんを始め、女子社員がテンション高めにざわついていた。



「大変って何事?」


言いながら、時計を見たら12時40分。

わ、お昼休みもうすぐ終わっちゃう。


パンにしておいて良かったと思いながら牛乳と一緒に頬張る。



「光建設の社長がもういらしてるんですよっ」


「え、そうなの? 」


呑気に食べてる場合じゃなかった。



「会議室に先に入ってらっしゃるんですが、かなり若いんで、もうビックリしちゃってー!」


「会議室に? 所長は?」


「所長は、下で別のお客さんと打ち合わせ中なんです」



一体どのくらいお待たせしてるのだろう?




「そう、で、お茶は?」


「出してませんよ」


「え、なんで?」



若い男の来社で浮き足立ってる女子社員達を見回すと、皆、″え?″ みたいな顔をしている。




「何でって、お客さんにお茶出すのっておつぼ……じゃない、森山さんのお仕事ですよね?」




はぁぁ?!



「それに、祖祖をして嫌われたらイヤじゃないですかぁ? お爺さんならどんなお茶出しても喜ばれると思うけどー」



間違い! それ、偏見!



何よりお客さまに嫌われたくなきゃ、気を利かせてさっさと出す!



「私が休みならどうするのよ??」


「その時は仕方ないので出しますよー、いる時はでしゃばってしません」


イラッ。



話せば話すだけイラついてしまう。


まぁ、珈琲を淹れるように頼まれていたのは私だし。



歯も磨く暇もなく給湯室へと急ぐ。



ベンチャー企業の社長とあらば、珈琲は飲めるでしょ?


(特に根拠はなし)

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