……って、あるわけないな。

フラれたのは私。

だけど、フラれなきゃいけない要因は私にあった。

ーー本当は、克己は、私との結婚を考えてくれていた。

だけど、克己は長男。

そして、私は長女。

本人達の気持ちだけではどうしようもできない壁があった。

結婚をすれば、必然的に克己の実家で親との同居。

お母さんを失って間もないお父さんを一人にしてしまう事に、どうしても踏み切れなかった。

「そんなんじゃ、真樹はずっと結婚できねーよ」

別れ際、克己に言われた言葉だった。

そうかもしれない。

私は、婿養子でも取らない限り結婚は難しいのかもしれない。

「森山さん！大変ですっ！」

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