第6話

黒い艶々の毛質。

一見りりしそうなのに、垂れたお目めが愛くるしい犬。



えーと、確か、ロットワイラーだっけ?

高いんだよなぁ、八十万円とかしなかったっけ?


そんな犬を散歩させてる飼い主はどんな人?



ペコを走らせながら、ロットワイラーの飼い主へと視線を移す。


長い足。

ジャージっぽいズボンを穿いてるけれども、スタイルの良さは隠しきれてない。


ロングリードを持つ引き締まった腕、その先にある骨格の美しい手の甲と指。



そして、愛犬を見つめるその顔に目を奪われた。




ちょ、



超イケメンなんですけど?!


二十代後半? 三十代前半?




細面のシャープな輪郭、高すぎない鼻、大きいけれどクドくない瞳。


キリッとした眉毛。


ロン毛じゃないところ以外は全部好み。


こんな人と公園で出会ってしまうなんて!




「あ」




見とれて過ぎて、ついペコを繋いでいたリードを手から放してしまった。



「わー!! ペコ! 待って!!」

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