第3話

28歳、独身。

このアクセスリースに勤めて8年。


不本意だけど、他の女子社員は皆年下なので、「お局」と呼ばれても仕方ないとは思う。


だけど、イライラの最大原因はそれじゃなかった。



お昼休み。


「おー、森山、お前の元カレの山口、さっきガソリンスタンドでバイトの女の子口説いてたぞー」



同僚の営業マンから、余計な情報を入れられる。




「……そうですか」



「まさかお前らが別れるとはなぁ。付き合って三年くらい経ってただろ? みんな結婚秒読みだって皆噂してたんだぞ」



「仕方ないです、あっちにその気がなかったので」



「森山、お前、かわいそうな女だな」




……社内恋愛をして終わった後に押し寄せる、この捨てられた女への同情的な視線。




やめてよね、まだ失恋の傷は癒えてないんだから。

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