第2話

4月2日。


年度末の公共工事が終わっても、建設機器を貸し出すうちの会社の忙しさはまだ続く。



プルルルルルーー。

プルルルルルーー。



うちの営業マンたちはどんなに暇でも、外線の電話をなかなか取ろうとしない。


それは新人の事務員も同じだった。


仕方ないのでパソコン入力をしながらの対応。



「お電話ありがとうございます。アクセスリースの森山でございます」




しかし、大概は営業マンに引き継ぐためのワンクッション。




「西海道路様、お世話になっております。荻田ですね、はい、おります、少々おまちくださいませ」






営業の荻田、スマホいじりながら鼻もいじってた。

回してからも電話取るの遅い。


私をイラつかせるのは荻田だけじゃなかった。





「森山くん! ○○建設に請求書送ってくれたかな?!」



「はい、とっくに送りました」


「あちゃー、俺が一件、売り上げ漏れしてたのあってさー。その分足して出し直してくんない?」



この月末締めの月初の忙しさプラス……、




「そこ、手書き請求書の3日必着ですよ」


「わかってるよ!でもデカイ工事分でそれが入るのと入らないのじゃ計画書と随分変わってくるわけよ! お願い! 至急、○○建設に電話して送った請求書破棄してもらってさ!」



「それは江島さんがやってくださいよ」


「そんな電話出来るわけないじゃん! 俺がアホと思われる!エースの俺の顔に泥塗りたいわけ?」



身勝手な営業マンの尻拭い。



″知るかよ、あんたの顔なんて″



言いたい。


本当はそう言いたい。



でも。


「……わかりました。じゃ、至急その工事に関する売上を上げてください、そしてこっちに回してください」



そんなこと言えない。




「おっ?! さすが話が早いね、 うちのお局様は! はいっ直ぐに売上あげてきまーす!」



そこでお局って要る?







もう、イライラするっ!

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