第60話

そんなことを思い出していると、美空がおっさんと呼ぶのだ。どうしたっていうと、おっさん。なんか思い更けてたからどうしたのかなと。ああー今日は俺の父の命日なんだ。俺は父親似だというと、療治のお父さんもこんな服着てたのというのだ。美空が俺をおっさんと呼ぶ理由はこの服らしい。アハハ。父はスーツがほとんどだったからなというと、父親の写真を見せた。この人、一回見たことあるというのだ。えっと思った。多分病院でだったと思う。ゴリラって呼ばれていたけどというと、あははそっか。というと美空は遠くでみてるだけだったよというのだ。本当に優しそうだねというと今日はお墓行かないのって言われたが、外国にあるんだというのだ。そう父の墓は外国にある。そうなんだというと悲しそうな顔をしたので、俺はこういった。うちの父はな、現地の人たちのために功績を残したんだ。だから向こうにお墓を立てた。俺たちはそれを了承したってことだ。だから悲しくはないしな。俺の父は現地の人たちに大切にされてるから悲しくないよ。ほらというとニュースを見てた時だ。

それはたくさんの子どもたちや大人がそのお墓に集まり、日本風に手を合わせている。療治も黙とうをしていた。私も一分間の黙とうをした。

取材していた記者がこういった。

ドクターゴリラって君たちにとってどんな人なのと。一人の子がこういった。

ドクターゴリラは治療もしてくれたし、病院の先生だったけど、食事や勉強や僕たちが困ってることを行政に頼んでしてくれたんだよ。

国境なき医師団の一員だったけど、僕たちが困らないように学校の建設に立ち会ってくれたりとか、これもしてくれたというと、広大の畑に作物を植えて、食べ物に困らないように現地の人たちは食べる分だけ収穫していた。井戸も引くように言ってくれて、手配してくれたの。ドクターゴリラは僕たちと追いかけっこが大好きでさ。足も速かったんだよ。

本当に医師らしくない人で、私たちが困ることがあると動いてくださって。だから子供たち問わず、ここの人たちはドクターじゃなく、ゴリラって呼んでいました。

ゴリラは何でもしてくれる方でした。私たちにとってかけがえのない存在でした。そんな彼は地雷によって命を落としましたが、世界が平和になるようにと動いてくれていました。彼がいたから地雷撤去があれから進み、ここには地雷原がもうなくなりました。戦争は私たちでも嫌です。戦争はしてはいけないというゴリラの意思が今でも残っています。

今はいないけど、ずっとゴリラはここで見守ってくれてるんだよ。だからというと、ドクターゴリラの子供たちがここに是非お墓を立ててあげて欲しいといってきてくれたんだ。

その子供たちにありがとう。感謝してるよというと、おっさんはテレビを見て懐かしそうにしていた。

ドクターゴリラは僕たちのヒーローさと子供たちがいってるのを見て私はこんなにもおっさんのお父さんは愛されてた。

おっさんが懐かしそうに振り返れるのはお父さんが世界中に愛されていたからなんだねと思った。

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