第38話

多紀さんは私には怒ってないらしいということが聞けてよかった。

収まった私はタヌキさん、また会いに来てねというと意識を手放した。その後の事、療治が多紀さんから話があるというと、私は眠っていたので療治が心知れず泣いていたことなんて知る由もない。

多紀さん。美空の前で声を荒げるなんてどうしたんですかとおっさんが聞いた。療治、荒げるつもりなんてなかった。本当にゴメン。僕らしくなかったというと、療治はそれほどのことだったんですねというと、ああー療治には本当の事を言うとね。あの人は美空ちゃんの事をガラクタとかそういうことを言っていたんだ。僕は美空ちゃんの魅力を知っていたから思わないよ。そんなふうには。ねえ、保険金何に使ったか知ってる。ホストに貢いだらしいよ。全部。妹さんの稼いだお金も全部。店長さんに預かってもらえるまでのお金の金額わかる。妹さんが稼いだ金額はバイトにしてはいい金額でさ。一生懸命働いてたからその金額をもらっていたってのにさ。あの女は美空ちゃんが守っていたそのお金を彼女に暴力で奪ったんだ。療治。気づいてた。妹さんかわりに殴られていたの。で、妹さんを守ってお金を取られたことに。僕は今後妹さんにもケアを差し伸べるつもりなんだけど、お金は取り戻すことは出来ない。それに心の傷は一生にわたり彼女を縛り付けるかもしれない。そういった多紀さん。でも僕がケアを全力でやるよというのだ。療治、美空ちゃんの心を見過ごしてはだめだよというと、ああーという療治は泣いていたのだ。多紀さん。美空は俺に任せてというと、多紀さんこれに懲りずにまた会いに来てやってというので、ああー会いに来るってというと帰っていった。

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