第16話

幸さんというと「療治、おはよう」という。そう、この先生は幸さん。車いすに乗っていて中性的な顔をしていた。幸さんが弘と呼ぶと出てきた。僕のパートナーの弘紀。仕事も教員補助員をしててね。僕とこの人は結婚してるの。というのだ。えっ男同士ってゲイってびっくりして叫んでしまった。私は驚いた。お二人はすごくかっこいいしと思っていると、美空、だから言ったろ。お父さんたちだって。たしかにいってたような。この人たち学校の先生と思ってると、療治が用紙に記入していたのだ。それを弘さんが幸さんに見せていた。幸さんがこういった。なるほどねというと、高校生かあ。支援学校って手もあるかもしれないけど、今まで学校行ってないか。おいでというと、幸さんが膝を叩く。乗れってことだよね。何されるんだろうと思ってると、別に何もする気ないけど、美空ちゃんは小さいからどんな感じか見たくてというのだ。幸さん、懐かしい。幸さんの膝は俺の特等席だったんだよね。というと、療治。覚えていたんだ。弘も大人になりきれてなくて喧嘩になったんだよね。というと弘さんが、もうヤキモチは妬きません。美空ちゃんが乗ったとしてもというと、私は幸さんの膝に乗った。へえ。軽い。療治が言った通りなんだね。分かった。学校には一応配慮するように伝えておく。緊張させて悪かったね。美空ちゃん。大丈夫だよというと下りた。幸さん、幸さんは今大丈夫なのと聞くと、弘さんがこういった。年のわりにはまだまだ二次障がいは出てないっていってたよというと、牧さんも現役と聞いていた。うん、あの人は現役ですよというのを聞いて私はなにと思ったが、説明してくれた。牧野夫婦っていってね。あのワールドアスリート社で働いている人だというと私はそのワールドアスリート社に噂で聞いていたのでびっくりした。今やアスリートたちに絶大的な支持を得てるところだって。そこの人に幸さんはマッサージを頼むんだよ。身体のケアをしてくれてて、俺もその人を見たとき、びっくりしたけどね。細い人なんだけどかなりすごいよ。幸さんをビクっとさせないのは、その牧さんって人と弘さんだけだよといい、俺はさすがに理学療法士だからビクっとさせないように気をつけてはいるけどね。というと、ねえ。お父さんたち。僕たちを育ててくれたから、僕、理学療法士になったんだ。もし、牧さんが忙しそうだったら僕変わるよというと、ありがとうねというとニコリ笑った。その姿をみてすごくいい人達だと思った。

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