第306話

「……橘。」



父さんもこれについては流石に堪えているみたいだった。



一番大事な部下を亡くしたのだから、それは堪えるだろう。




泣いてはいなかったが、辛そうに唇を噛みしめている様子がここからでもわかる。



「阿呆…、が。」



そう呟いて、橘君の傍にしゃがみ込む。



私の隣に来た父さんは、ただずっと橘君を見つめていた。



そして、彼が胸を抑えていたので、それの上に自分の手を重ねる。





「よう、頑張った。お前はよう、頑張ったよ。ありがとう、橘。」



お別れみたいな言い方で、私はもっと涙を流してしまう。



それを見た父さんは、私の頭を撫でてくれる。



「泣くな。みっともない。」



優しく撫でてくれるその手は、少しだけ橘君を思い出す。

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