第12話

「皇紀!何ってことを…っ!」



母さんは何とか僕に近づこうとして、黒いスーツを着た男の人から逃れようとしたけど……



男の人に敵うほど、母さんは強くはなかった。



「お、お嬢!大人しくしてください!」



「片岡!離しなさい!」



どうやら、佐伯さんという人と兄弟というのは嘘ではないらしい。



まだ子供な僕にだって、それくらい分かる。



「クックック、滑稽だね。姉さん。」



「っ!皇紀!!」



「何?今頃、俺に命乞いでもする気なの?言っただろ?」



僕から少しずつ遠ざかって、母さんに近づいていく彼を僕は見つめることしかできない。



そして、また彼は母さんの両頬を掴んで顔を近づける。

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