第11話

震える手を僕は僕自身の手で押さえる。



それを見て、なおも楽しそうな顔をしている佐伯さんは恐ろしい人だと思う。



ゆっくりと近づいてくる彼に僕は何歩か下がるけど、後ろが壁だということに気付いたのは僕が壁に当たった時。



気付いたら、佐伯さんはかなり近い距離にいた。



危険だっ…──


と僕の頭ではサイレンが鳴っているのだが、身動きが出来ない以上、僕には何も出来ない。



だからといって、このままの状況も嫌だった僕は咄嗟に彼の鳩尾に技を決めようとしたのだが……




「いい技を持ってるね。でも………当たらないと意味ないよ。」



逆に彼は僕の鳩尾に膝げりを入れてきたので、僕は直で当たり、踞る。



「朱希!!」



母さんの悲痛の声が遠くに聞こえるのは、痛みのせいかもしれない。

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