第4話

「僕、これから練習で行かなくちゃいけないんですけど…」



そう躊躇いがちに漏らすと、佐伯さんと呼ばれた彼は微かに口端を上げる。



その瞬間を僕は見逃さなかった。




同時に風を切る音がして、僕は肩にかけていたバッグを地面に落とす。



一瞬で間合いを攻めてきた彼に驚きと恐怖を感じながらも、僕は受け身を咄嗟に取った。



手加減はしてくれたのかもしれないが、受け身を取ったとはいえかなり痛い。



「……へえ、なかなかやるね。」



その後に、ガキのクセに…と続くなら、彼は本気を出していなかったことになるだろう。



僕はそれが分からないほど、ガキではなかった。



こちらを見下ろしている佐伯さんをじっと見つめる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る