第100話

「馬鹿野郎。……心配させるな。」



そう言って、私を抱きとめてくれていた。



ああ、もうなんて不意打ち。



抱きしめてくれている彼に私も彼を抱きしめる。



世界が、二人きりにでもなったかのようなこの感覚。



彼のぬくもりしか感じない今の世界が、とっても好きだ。



とっても、愛おしい。




そう思って、彼の体温を感じていたのだけど、それはすぐに戻される。









「真野。」



その声はさっきまで私を抱きしめてくれていた、悲しい彼の声。



抱きしめていた腕を、ゆっくりとおろす。



それを感じた柳生君も名残惜しそうに、私から腕を離す。



ゆっくりと柳生君は彼を見つめる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る