第51話

「橘、飯できてるけど?」



耶麻は淡々にそう言って、橘君に伝えるのだけどそれに苦笑いで耶麻に答える。



「儂は後でええです。お先に食べよってください。」



クルリと踵を返して、私から離れていく。




“あ”と声を出しても、もう彼は私の方に振り向いてくれることはなかった。




それにやけに寂しさを感じながらも、私は彼の背中が見えなくなるまでずっと彼の背中を見つめていた。








耶麻はそんな橘君を見て、溜息を吐いた。



どうして溜息を吐いたのか分からなかったので聞いてみようと口を開いたのだけど、それよりも先に耶麻の方が言葉にするのが早かった。




「あー、そういや……今日、母さんの誕生日か。」

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