第49話

風が、吹く。



私と橘君に距離があるような………一枚の壁があるような、そんな風が吹いてしまう。



ああ、遠い。



彼がこんなにも遠く感じてしまう。



私はそんな橘君との距離に寂しさを感じながら、目を細める。




風が、一度止まる。



橘君がそれと同時にゆっくりと口を開く。






「あなたに、“お嬢”であってほしくないからですよ。」




目を、見開いてしまう。



橘君のその言葉に、私は涙が出てしまいそうだ。



そして、橘君はまた少しだけ笑って、続けて言葉を紡ぐ。




「あなたには、この世で一番……“お嬢”という言葉は似合わない。」



切なそうに笑う彼に、私は一筋涙を落とした。

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