第110話

そして、私は願っている。



どうか彼が、極限にまで怒っていないようにと。





でも、その願いがどれだけ切ないことなのかを実感するのはすぐだった。



「おい、真野。」



その言い方は、ものすごい怖い。



びくっと肩を無意識に鳴らしてしまうのは、彼の声が聴いたこともないくらいに低いから。




「へ、へい。」



「あ?」



「間違えました。はい。」



“へい”というのもダメらしいというのは、彼の顔を見るだけで分かる。



その睨んでいる目も、恐ろしい。



そしてみゃー君は、ゆっくりとこちらに体を傾けて、睨みをさらに強くする。



こ、これはもう…っ、私の命の終わりを告げているのかもしれない。

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