第97話
「紺ちゃんは?好きな子おらんの?」
『うむ。16年、恋人はおろか初恋もまだっすね。』
「「えぇーっ!!」」
そんなに驚くことか?
母には恋はしようと思ってできるもんじゃないと言われてきたから焦りなどなかったが、異常なのか?
『三人はいつなのさ。初恋!』
「「俺ら幼稚園の先生!」」
同じ先生好きになったー、と楽しそうに話す双子。
錦を見ると、彼は少し困ったように笑ってオムライスを食べる。
逃がさんぞ。
『錦くん。』
「……僕は高一やな。」
『最近じゃん!誰!?僕ら知ってる人?てか双子は知ってるの!?』
「「勘だけど。」」
なにその勘!
幼馴染みで親友だから通じ合ってるの?
そういや、私も親友が恋愛しているときは言われる前になんとなく分かっちゃったりしたな。
なんなら相手も分かっていた。分かりやすい奴だからね。
『まあ、頑張れよ。錦なら大丈夫だろ。』
「……前途多難や。」
『まさか…………いや、まさかのまさか!?』
「っ……!?」
錦で前途多難って、もうあれしかないだろ。
一人考えていると錦が焦ったように私を見つめる。
双子も固まって私を凝視する。
「まさか?」
『まさか……彼氏持ち?それかB専?うわーそりゃ前途多難だ。しかも揚羽にいるとしたら、近付くのも一苦労だな……』
「は??ちゃうわ!!もう紺ちゃんなんて知らん!」
『えぇ!?なんで!?』
「「……南無。」」
それ以外の理由が思い浮かばない。
『そもそも女?』
「何?その質問。女の子に決まってるやん。僕何度も女の子が好きって言うてるよね!?」
『お、おお……まあ何にせよ。応援してるよ……。』
錦は寂しがりだから、早く彼女でも作ればいいのだろうが……さっきからモヤモヤモヤモヤ……なんなんだ!!
あ、そうか……。
『錦、彼女できても遊んでな。』
「……お、おう?」
「何がどうなったらそうなるんだよ。」
「紺の思考回路謎。」
うん。モヤも収まってきた。
オムライスを完食して、また暫くの間勉強と読書タイム。
『んー……む、……っぶふ!!』
食後の眠気に従順な私が船を漕いでいたら、額を思い切り机に打ち付けた。
「紺ちゃん眠いん?ベッド使ってもええで。」
『んー……』
「ちょっ!はぁ……ガキか!」
ベッドまで移動するのも億劫だし、人の家のベッドとか使いにくいわ。
隣に座っていた諭吉の膝に頭を置いて、丸まって目を瞑った。
「なんで睨むの!?不可抗力じゃん!」
「睨んでへんで。」
遠くで三人の声が聞こえる。
諭吉がうるさいけど、そんなの今はどうでもいい。
「紺~!」
「叫んだら起きるやろ。」
「いっ、痛っ!もう変わって!!」
「諭吉静かにー。」
こんな風に一緒にいてふざけていられるのは、私が男だからなのかな。
女って分かったら、何か変わっちゃうのかな。
それは……やっぱり嫌だな。
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