第93話

父をもっと労おう。

あの人はTHE完璧人間だから、私や母には疲れている姿を見せたことなどない。



「理事長だけじゃなくて、警察にも滅茶苦茶怖い鬼刑事がいるんだ。その人は三年くらいかな?前に来て、その人来ただけでも治安はわりと落ち着いたんだ。」



『へー!なんて名前の人?』



「知らない!直接会ったこともない。当時の百合学生でも捕まった奴でも知らないんじゃないか?いちいち名前なんて名乗らないしな。」



報復とかあるもんな。

中には逆恨みでその人の名前や家族のこととか調べる奴もいるみたいだけど。



「紺?顔色悪いぞ?」



『ん?僕の顔色変わるんだー。』



「無表情でも具合悪いのくらい分かるぞ!まだ治ってないのか!?」



『平気平気。僕、風邪引いたこともなかったくらい丈夫が取り柄だから!』



二人の顔が説得力ねぇな、と言っている。

口に出していないのに顔に全部出せるから羨ましい。



「学校ではしゃいでもぐら叩きなんかするからだ。」



「病み上がりなんだから、大人しくしててほしいよ。」



『回復力には自信ある!!』



薬も錦に飲まされたあれしか飲んでいない。

獅子さんの寝かしつけは、翌日の目覚めが最高だったな。

……私、結構父と母が恋しかったのかな。



なんだかんだ二人と離れて暮らすのは初めてだ。

三年間父とは離れていたが、母が一緒にいてくれた。



『そういえば、二人のお母さんにまだ会ってないよな。別のところに住んでるの?』



「……あー、母さんは四年前に死んだんだ。」



『っ……そうだったのか。ごめん……』



「俺らは平気。そりゃ、辛いけど……今でも母さんは俺たちの中にいてくれてる。あの人心配性だったから、俺たちのこと近くで見てくれてる気がするんだよな。」



「それに、ずっと母さんが言った最後の言葉が分からなかったけど今ならそれが分かる。母さんは俺たちの自慢だし大好きだから忘れない。だから、引きずるとは違う。」



二人が懐かしそうに嬉しそうに、少し寂しそうにそう話すお母さんに会ってみたかった。

それから、錦の家までお母さんの想い出話をしてくれた。

なかなかにパワフルな女性だったみたいだ。

あのみくじさんを尻に敷いていたようだ。

そんな人が何故亡くなったのか、気になったがそんなこと聞けるわけない。

簡単に聞けることでもない。



『二人も将来は尻に敷かれそうだよなー。』



「は!?んなわけねぇし!」



「いやー、大吉はありそうだよなー!あの子、気ぃ強い感じじゃん。」



「っ!!馬鹿諭吉!!」



『え!!誰々!?特定の子がいるのか、君は!!言いたまえよー!!』



「嫌だ。紺は絶対獅子さんとか光さんとかに言いそう。」



『諭吉だけずるいっっ!!兄弟だから!?魂半分こだから!?』



「魂半分こってなに!?怖いんだけど!!諭吉にも言うつもりなんかっ……もー!!暑いんだからキビキビ歩けよ!!」

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