第89話

クソ爺もお婿さん探せって言ってたな。

その事を言ったら、父が暴れそうだから言わないよ。

多分父一人でこの屋敷の全員殺れる。

父にそんなことさせたくないから穏便にこの話は終わらせたい。



母はモテ女だったらしいが、本気で惚れたのは父だけだと言っていた。

好きでもないのに付き合って、一週間でだるくなって振っていたらしい。

人を好きになることすら諦めていたと言っていた。

父も父で、母以外と付き合ったこともなければなんと初恋だったのだとか。



『私の理想は父だからなー。』



「紺ちゃん理想たっかいなぁ!クロさん以上の良い男なんかいないわよ~!!」



『むー。』



「紺……可愛い過多でパパ死にそう!!」



『ダメだ父よ。父は日本国の平和を守る宿命を放棄してはならない。』



「紺っっ!!!」



父が鼻の下を伸ばしてデレデレしている顔は、死滅した表情筋が悲鳴をあげているなかなかに強烈な顔だ。

そんな父に母もデレデレしていた。



「クロさん紺ちゃんがいると紺ちゃんのことばっかりなんだからぁ!」



「アオは一昨日たくさん愛してるよって言っただろ?」



『お?おいおい?一昨日、とは??』



「一昨日も二人でテレビ電話したのよー。」



『はぁ!?なんで母だけずるくない!?』



「だってー、紺ちゃんが電話出なかったんだもん。」



『っ!!くそっ……風邪ひいたせいだっっ!!』



寝込んだせいで、スマホを見ていなかった。

たしかに翌日に着信があったけど良く確認せす、あれがビデオ電話だったかまでは見ていなかったよ。



「「紺が風邪!?何拾い食いした!?!?」」



『娘をなんだと思ってやがる!!生まれてこのかた拾い食いなんぞしたことねぇぞ!!学校が汚すぎたせいだ!』



なんて親だ!娘の何を心配してやがる!

二人は仲睦まじくクスクスと笑っている。

そして、母が何かを思い出したように手を叩いた。



「あ、紺。アンタ、チャーリーに日本に帰るって言ってなかったの?家に来たわよ?俺だけ聞いてなかったって怒ってた。」



『チャーリー?……ああ、メガネのことか。だってアイツストーカーだもん。後付けてきそうじゃん。』



「泣いてたわよ?涙出てなかったけど。」



『ほっといていいよ。夏休みにはアイツらに会いに行くから。またこっちでもバイト探さないとなー。こっちは賭け事なさすぎ~。』

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