第87話

学校に戻り、教室に向かって歩いていると横から手が伸びてきて引っ張られてバランスを崩して硬い板に体を強打した。

その板はトクットクッと音がして温かい。



「紺~?髑髏だけじゃなくて俺も構ってよー!」



「「「紺(ちゃん)っっ!!」」」



『銀聖、ちょっ離せ!あっちぃな!!』



「良い匂いする~……甘くて───だ。」



『っ!?!?は……?』



銀聖の小さく低く放たれた声に、心臓が大きく脈打つ。

なんでだ?どうして……。



「離せ、ホモ。」



「錦くんこっわーい!人格変わりすぎ。」



双子が銀聖に襲いかかり、私の体は錦の体に放り投げられた。

錦の甘いお気に入りの匂いに包まれて、嫌な音を立てた心臓が落ち着くのが分かる。



銀聖に対して出した錦の低く殺気を孕んだ声は初めて聞くものだった。

それなのに、今は私を包み込んでいつもの少し色気がある優しい声で私の名前を呼ぶ。



「紺ちゃん、強いんやからあんなのに触られたら即刻玉ぁ潰してやらんとあかんで。」



『そ、そうだな。』



「何言われたん?顔色悪いで。」



『男が男に抱き締められてきもくないわけないだろ。錦も離せよ。』



「僕、気持ち悪い?」



『うっ……そんなウサギみたいな眼で見るなぁぁぁっっ!!』



「「なにやってんの?ゴリラ。」」



目を覆い隠して錦のつぶらな瞳から逃れようともがく私に、双子が冷めた声を出した。



『あぁ!?純朴な少年にゴリラだと?』



「「じゅ、ん……ぼく?ぶっはははっ!!」」



こうなったら次どうなるか分かるよね。

追いかけましたよ、ええ。

廊下をバタバタと掛け、隠し持っていたポフポフハンマーを手に持って逃げる双子を追いかけた。

しかし何故か、双子が逃げる先々にいた不良たちもハンマーを見ると一目散に逃げ出した。



「……アイツら、ちょっとは大人しくならないのか?」



「すっごい人数になってる。」



「こういうゲームありそうだよな。」



「紺ちゃん……なんでまたハンマー持ってるんや?」



白けた目で私たちを見る人たちの会話など知らない私たちはいつものことのように怒号を上げていた。



「持ち物検査強化したのになんで!?」



「くそっ、ロッカーに隠してたのか!」



『待てや双子っっっ!!!』








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