第86話

「お前より強い?」



『……ああ。』



「えー!!気になる!弟子入りしたら俺も鍛えられるかな……。」



『人間が弟子入りしても死にに逝くようなもんだ。』



桃里の頭に優しくチョップして、麟太郎にやられた分を仕返ししてやった。

涙目で上目遣いで睨んでくる桃里は、滅茶苦茶可愛かったのは言うまでもない。



「何の話してるの?」



『……キラキラどもめ。』



「八雲モテなくて僻んでた。」



こっちも仕返しだとばかりに前のモテモテ集団にチクった桃里と掴み合いの小競り合いを始める。

間に挟まれている麟太郎に二人してチョップされた。



「紺くんモテるでしょ?」



『あ?悪かったな、モテなくて。誰も彼も人を珍獣扱いしやがって……くそっ、あのメガネ。』



向こうで出会ったストーカー変態見た目紳士メガネにまた怒りが沸々と沸いてきた。

私、結構怨みは根に持つタイプです。

コソコソ後着けてきて、盗撮して私の飲み終わったペットボトルを回収していたガチ中のガチのストーカー。

近付いて胸ぐら掴んだ瞬間、「見てるだけで俺は満足です!付き合えません、すみません!」と叫んだのだ。

友人たち全員に笑われた。未だにネタにされている。

その男もいつの間にか仲間内に入っていて、堂々と私に変態行動をしていた。



あ、ダメだ。今すぐ電話して罵倒したい。

だがそんなことをしたら、「俺の声が寂しくなったんですか?誰よりも一番に俺に電話をくれたんですね!でも付き合いたくはないです」と宣うに決まってる。



「め、メガネ?」



大吉が自分のメガネのフレームを上げ下げして、不思議そうな顔をしている。

落ち着け落ち着け。

うん、帰ったら獅子さんに癒してもらおう。

獅子さんとみくじさんはノーマル時の父に雰囲気が似てるから安心する。



『メガネはもういい。それよりも、鴉とはあのまま終わったの?』



「ああ。いつもあんな感じだ。」



喧嘩するほど仲が良いのか?

私の腕試しみたいなやつの時も喧嘩することなく一緒にいたし。



「敵対してるってよりも、ソリが合わない。」



壱はそういうと、怪我している顔の絆創膏の上から傷を撫でた。



「あのさ、紺くん。俺のさっきの質問スルーしたよね?」



『え?』



「紺くんに聞き忘れたことがあるって話。」



『そんなこと言ってたっけ?なに?』



「言ったよ。紺くん昨日“ある人にお願いされたなら来た”って言ってたけど、誰に頼まれたの?」



あれ、これは言って良いのか?

バレたくないから私にお願いしたんだよね。

そうだ!光くんに次会った時報酬でも要求しなきゃ!

結構大変だったんだから。



「紺くん?」



『……むー、誰だっけ?』



「は?」



『てか僕、そんなこと言ったっけ?はて……』



「「ダメだ、こいつ。」」



桃里と壱の呟きに反論したかったが、面倒だったのと話を切りたくて知らんぷりを貫いた。

優しいユウジは呆れながらも「思い出したら教えてね」と言った。

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