第77話

「黙れ!」



バンッ、と勢い良くドアが開き、出てきた麟太郎が私の首を締めて睨む。

酸素が吸えなくなり、それでも麟太郎を見てニヤリと笑って見せると首をへし折ろうと手に力を込めてくる。



「っ!やめろ引きこもりっ!!」



『ゲホッ……ハァ、ハァ』



諭吉が私にばかり気を取られて隙だらけの麟太郎の顔面に飛び蹴りをいれると、麟太郎は後ろに吹っ飛んでいって私は後ろから錦に引っ張られた。

何故か抱き締められて、ひょろいのに硬い胸板に鼻をぶつけた。



「紺ちゃん、無茶なことばっかしないでよ……。」



『えー……あ、ひゃい。』



言い訳しようとしたら、頬っぺたを力の限り横に引っ張られた。

伸びないほっぺたは摘ままれてヒリヒリと痛みと熱を帯びる。



ユウジと桃里が麟太郎に駆け寄ったが、麟太郎は触るなと暴れていた。



『そんじゃ、行くか!』



「ど、何処に?」



桃里は困惑を隠しきれずに私の言葉に反応した。

ゆっくりと麟太郎に近づき、さっきの恨みを込めて耳を引っ張って部屋から連れ出した。



『麟太郎、ケツ叩いてやんよ。』



「あ”!?いっ」



麟太郎を部屋から出すのも大変だったが、それからのビルから出るのも大変だった。

自分ところの若頭が耳を引っ張られて連れ出されているのを、易々と見逃してくれるはずもない。

麟太郎を助けようと襲ってきた男たちを諭吉と錦と交わしながら応戦する。

これでも、人様のお家で物を壊したり暴れるすぎないように配慮している。

しかし、なんせ立ちはだかる人数が多い。



「騒がしい。若をどうするつもりだ?」



「父さん……」



男たちの中で頭一つ分高い男の声に、その場にいた男たちは動きを止めて道を開けた。

ユウジの父が現れ、私たちを見下ろす。



『僕たち学生は学校に行くのが義務です。親の金を無駄にしてはなりませぬ。』



「……組長からお前らを送るように言われた。時間がないから早く来い。」



そう言ってドアを指差すと長い足でスタスタと歩き出した。

ユウジも麟太郎も目を見開いて硬直したまま驚いている。

かくいう私も驚いている。



あの組長の魂胆が見えた気がする。

しょうがないなぁ、利用されてやるか。



『錦、頼みがあるんだけどいい?』



私たちはユウジの父の運転で学校まで送ってもらった。

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