第67話

ええ、全力で逃げ出しましたとも。



大吉と諭吉を身代わりに男たちの集団に投げ込み、祖父を吹っ飛ばして廊下を駆けた。

振り返った時、大吉と諭吉が揉みくちゃにされて襲われている光景にゾッとした。

光くんとみくじさんはちゃっかり吹っ飛ばされた祖父が受け止めていた。



男たちはすぐに本来の目的?を思い出して、私を追いかけてきた。

襖という襖を開けて逃げ、爆睡している組員を踏みつけ────逃げ込んだのは唯一灯りがついていたキッチン。

部屋の隙間で息を潜め、ドタドタと騒がしく通り過ぎた足音に胸を撫で下ろした。



『何故、僕が追われてる……?』



「うふふっ……紺ちゃんモテモテね!」



「若、何の騒ぎですか?」



『っ!そ、祖母!?と獅子さん……はぁ。』



必死だったから、誰がいるかとか全く見ていなかった。



「あー!もうっ、シオちゃんって呼んでってばー!」



『お、おお……忘れてた。』



祖母が私の肩をガクガクと揺すり、薬を飲んで熱も下がり元気になったとはいえ目が回る。



「あ、姐さん……若が白目です……」



「あらやだっ!ごめんね?」



『か、軽い……』



二人は仕事で遅くなった祖父たちに軽い夜食を作っているところだったらしい。

私は二人にさっきまでのことを話すと、二人と楽しそうに笑った。



「寝ている子たちもいるのに、お馬鹿さんたちね?」



『全くだ。祖父は絶対違うって分かっててノッてた。』



「若、これから寝込みはお気をつけて。」



『獅子さん恐いこと言わないでよ。』



「俺の部屋に避難しますか?朝まで添い寝してあげますよ。」



『遠慮します。』



「あらー、じゃあ私のお部屋に来て?どうせあの親子が暴れたなら紺ちゃんのお部屋荒れてるわよー。」



『そ……シオちゃんの部屋は祖父と一緒なのでは?』



「そうよ!」



『遠慮します。』



「なんで~?川の字で寝ましょ?」



川の字と言う言葉に懐かしさが込み上げてくる。

父と母の間で寝たくて、いつもおねだりしてそこは私の特等席だったこと。

一緒に住んでいた時は、これから先もずっと一緒にいるものだと思っていたのに。



『するわけないじゃん!!バカップルの間なんて……寒気がする!』



「えー!!大丈夫よー?勲も節度は」



『やーめーてーっ!!』



引く!ドン引く!

頬を赤らめた祖母に獅子さんと私は苦笑いした。

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