第65話
私と大吉諭吉と同じなんだ。
でも、私たちの間には明確な主従関係はない。
いつか、変わってしまうのだろうか。
……うん、嫌だな。
そんなことになったら暴れまくるわ。
「桃里は元気?」
『昨日骨折ったけど元気そうだったね。僕のこと嫌いみたいよ。』
「あっははっ!!最初は警戒心強いんだよ。麟太郎にも最初は噛みついてたよ。腕にね。麟太郎もユウジの腕もちっちゃい歯形だらけ!」
『想像つかねぇ!アイツそんな特技持ってるのか!』
「俺のことも嫌いになったかなぁ。ははっ……」
ポツリと溢れた言葉に、悲しそうな声。
この人もこんな声出すんだ。
光くんも腕を擦っていたから、もしかしたら噛まれたことがあるのだろうか。
アイツはカメか。
『会ってないの?』
「うん。紺ちゃん、ずっと気になってたんだけど……なんでフォ」
「いぎゃああぁぁぁっ!!」
何かを言いかけた光くんの言葉を遮って断末魔のような絶叫。
ドタドタと騒がしく廊下を逃げる複数の足音と、明らかに違う重く響く一人の足音がこちらに向かって走ってきて角から茶髪と赤髪が飛び出してきた。
「「こ、こぉぉぉんっっっ!!!」」
『こら、夜中に騒ぐなっ!!……っわ』
二人の後ろからドス黒いオーラを纏うみくじさんがバリカンを持って追いかけてきていた。
二人は走っていて、みくじさんは歩いているはずなのに距離は近づいていた。
二人が何故か腕を後ろに拘束されているからかもしれない。
よく見ると、赤髪は片方だけサイドに剃られた形跡がある。
みくじさんの恐ろしい般若の形相に驚き、無意識に近くにあった光くんの服を掴む。
私の脳裏には、父が悪い奴を追い詰める時のあの恐ろしい顔が浮かんでいた。
チビりそうになるくらい怖かったのはよく覚えている。
誰よりも父が恐かったよ。
光くんが私を自分の後ろに隠すと一人爆笑している。
こんな夜中に他の家族は寝ているのに、とてもお騒がせの親子だ。
騒ぎに目を覚ましてしまった男たちはその光景に、「またか」と言葉を落とし笑っている。
「お前らお父さんに謝れよー。土下座しておけ。」
「む、無理無理!!光さん、止まった瞬間剃られる!!」
「俺の毛ぇっっっ!!!」
『うるせぇよ。』
「廊下は静かにあるかんか!」
「『みくじさんもっすよ。』」
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