第61話

全員が壱の手に持った血を付けた折り畳み式のナイフを見て息を飲む。

壱はわざと麟太郎を怒らせて、自分が優位にだと麟太郎に思わせて無防備な瞬間を狙ったんだ。

なりふり構わず、麟太郎だけを見ている。

だからもしも錦を巻き込んでも怪我させても気に止めないだろう。



壱は狂ったように低く喉の奥で嗤う。



「壱……そんなの……」



「死ねよ……會田。」






────ダブる。






最悪だ。



壱がナイフを構えて麟太郎に向かって行き、殺気を放つ麟太郎は視線だけで人一人殺れるくらいの鋭さを孕んだ目で壱を見ているだけ。



その二人の間に、桃里が麟太郎を庇うように立ちはだかり─────ボキッと骨が砕ける鈍い音。

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