第60話
「出ていってくれないか。これは髑髏の問題だ。」
「あ?誰に指図してんだ?」
たーちゃんがユウジを睨み、野次馬根性万歳で銀聖も腕を組んでニヤニヤと笑っている。
「壱は髑髏の総長になりたかったの……?そんなの一度も」
「桃里は鈍いなぁ。総長?そんなのいらねぇよ。俺はユウジでも桃里でも誰でも良かった。麟でさえなければ。気付かなかったか?こいつらは麟は髑髏の総長に相応しくないと思っていたこと。」
「そ、れは……」
「気付いてたよ。でも、タカさんが選んだんだ。そして麟は強い。一番強い奴が上に立つ。それに“昔の”麟は仲間思いで優しくて……、」
壱はユウジの言葉にニヤリ、と笑った。
ユウジは口を押さえ、眉間にシワを寄せた。
「ほら、お前らも“今の”麟は相応しくないと思ってるんだろ?ユウジも桃里も二人していつまでも麟がいつか“昔の”麟に戻ってくれるって淡い期待持って一緒にいるんだろ?現実見ろよ。そいつは変われない。血が、そうなんだよ。」
壱がゆっくりと麟太郎に近付き、低くでも静かな声は風にのって少し離れたところにいる私たちにまで届いた。
────「人殺しの血が」
「っぅぐ、」
麟太郎の手が壱の首を締め上げていて、壱は口をパクパクさせながら酸素を吸おうとしていたが呻き声を上げるだけで白目を剥く。
麟太郎の瞳は瞳孔が開き、黒く黒く光もなく壱を見つめている。
「麟!!やめろ!」
「麟くんっっ!!麟くんっ!!!」
「會田!やりすぎだっ!」
「ッッッ!!!」
ユウジと桃里が止めに入っても、麟太郎は全く聞こえていないようで手の力を更に込める。
壱の体の力が抜けていく。
私の隣にいた大吉、諭吉、錦も焦って麟太郎を拘束しようとしたが麟太郎は首から手を離さないまま、自分を止めようとしている全員を薙ぎ払っていく。
錦が麟太郎の壱の首を絞める腕を掴んで捻り上げたがが、麟太郎の手は是が非でも離そうとはしない。
「ハッ……ッッ!!」
『っ!錦手を離せ!!』
「っ!?!?」
叫びながら錦の体を力の限り引っ張ると、間違えて後ろに吹っ飛ばしてしまった。
そしてそのまま錦はたーちゃんにぶつかって二人して倒れた。
「ッッッ!!!」
「紺ちゃんなにす……っ!!」
「ゲホッ……ゴホッ!!ハッ、ハハッ……ハァ」
壱の首を絞めていた麟太郎の手首から血が滴り落ちて白いコンクリートの地面を赤く雫が落ちる。
腕にできた大きな一本の傷を押さえ、麟太郎の顔が歪む。
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