第59話

「は!?」



「サイっ!?!?なんで……まさかっ」



ユウジが飛んできた男をキャッチして、桃里が男の頬を叩いて起こす。

意識を取り戻した男は掠れた声で「會田」と言った。



それを聞いて桃里が駆け出し、屋上の中へと消えていく。

私たちも遅れてそれを追いかけ、目の前に広がる光景に息を飲んだこと。



麟太郎を中心に、たくさんの男たちが所狭しと足の踏み場もなく倒れていた。

それでもまだ十数人の男たちがボロボロで立ち上がり麟太郎に向かって拳や鉄パイプやバッドを構えていた。



「麟くんっ!?壱!?おいっ!お前らも何してんだよっっ!?」



「麟太郎!!壱っ!?」



ユウジと桃里は動揺していて、ユウジは飛んできた男を屋上の入り口前の踊り場に寝かせると麟太郎に駆け寄る。



桃里が麟太郎と男たちの前に飛び出し、男たちに懇願している。

正確には男たちの先頭に立っている三白眼のスキンヘッドに向かって叫んでいる。



「壱!!やめろよ!どういうこと!?」



「麟太郎、何があったの?」



「……んでっ……なんでそいつを守るんですか!?ソイツは仲間を守るわけでもなく、暴力でユウジさんと桃里のこと従えてるだけじゃないっすか!」



「仲間に暴力振るうしかできないリーダーに従うつもりなんかない!俺たちは壱さんかユウジさんにリーダーになってもらいたかった!先代も二人のどっちかにしてくれると思ってたのに!!」



「もう我慢できない……そいつは!俺たちのこと仲間とも何とも思ってないんですよ!!」


彼等は怒りに声を奮わせ、悲痛な声を上げて叫んだ。

最後にフッと笑った壱と呼ばれていた男が口を開く。



「やっぱりこいつは変わらない。もううんざりなんだ……昔から、大っ嫌いだった。二人とももう分かってるだろう?」



「きょ、兄弟だろ!?」



「違う。こんなやつを兄弟なんて思ったことはない!!」



私の頭の中で、錦の“内部分裂”という言葉が甦る。



『分裂、してたんだ……』



もうそれは起こっていて、少しのきっかけで噴火する程にまで膨れ上がっていたんだ。



「なに、言ってんだよ……兄弟喧嘩?麟太郎に決めまった時、反発しなかったじゃん!賛成してたんじゃないのかよっっ!!」



「こいつは相応しくないと言った!!でも“大丈夫”しか言われなかった!!」



「っ……ごめん、とりあえず一旦……頭ぐちゃぐちゃで……」



動揺して頭の整理が追い付いていない桃里は、真っ青な顔でしゃがみこんで項垂れた。



「こんなやり方は間違ってる!壱、頼むからやめてくれ。怪我してる奴らの手当てしよう……桃里は麟太郎を頼む。」



ユウジは桃里の肩を叩いてから、今だ臨戦体勢の壱の背中を無理矢理押したが、壱はユウジの胸ぐらを掴んだ。



「なーんか面白いことになってるねー?」



「アイツに不満なら鴉に来りゃいいってだけなのに、馬鹿だなー。」



銀聖とたーちゃんの言葉に、髑髏の男たちは吠えたがユウジがそれを制す。

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