第56話

鴉のメンバーと解散して、校舎に戻った。

帰りに何処に寄るとか今日はバイトだとかこれから○○ちゃんとホテルだとか、仲良さそうに話しながら帰っていった。

銀聖とたーちゃんは何故か私たちに着いてきて、二階と三階を見て回った。



『揚羽蝶のメンバーは?』



「生徒会室。」



長髪金髪美女の近藤沙羅こんどう さらが私たちを生徒会室に案内してくれるみたいだった。

彼女は揚羽蝶のNo.2で、物静かな人みたいだ。

揚羽蝶は全員ららちゃん主義者の集まりらしく、主従関係がはっきりしているらしい。



「ららちゃんに会える~」



「ららを気安くららちゃんなんて呼ぶな、伊嶋。」



「沙羅ちゃんほんとららちゃんloveだよねー。俺としては沙羅ちゃんでもいいんだけどねー?……痛い痛い。」



銀聖を親の仇のように睨んだ沙羅の肩に銀聖が触れようとして、笑顔のユウジが銀聖の腕を阻止した。

手首を捻り上げ、笑顔なのに目は笑っていないユウジからは真っ黒なオーラが出ている。



「なに?離せよ。もしかして俺のこと好きなの?」



「きも。」



「こっわい優男くんだねー。そんなに沙羅ちゃんが触られるのが嫌?お前の女じゃないのに、引っ込んでろよ。」



「やめなよ。また玉潰されるぞ。」



一触即発のユウジと銀聖の間に桃里が入り、二人を止める。

銀聖もさっきのさっきであったことを思い出して大人しく身を引いた。



沙羅ちゃんを見ると、その瞳はユウジを映していた。

ほうほう……なるほどね。



「紺ちゃんどうしたん?一人で頷いてて怖いで。」



『怖いとはなんだ!』



「無表情で首カクカクさせてるの、不気味だよ。」



「熱で頭やられちゃった?冷えピタ取り替えようか。」



『いってー!』



錦だけじゃなく、大吉までそんなことを言う。

諭吉に至っては私の額にあった冷えピタを勢いよく剥がし、新しい冷えピタをバチンッと張り付けた。

剥がした時に数本の毛がブチブチと嫌な音をたてた。



そんなことをしていると、いつの間にか着いた大きな木製の扉の前。

生徒会室と書かれたプレートがかかっている。



沙羅が力強くノックすると、扉が勝手に開いて沙羅を筆頭に中に入ろうとして中から出てきた女に止められる。

その子はたしか、体育館の壇上でららと沙羅と一緒にいた子だ。



「彼女は揚羽蝶のNo.3で宮崎桜。揚羽蝶で一番喧嘩っ早いことで有名。」



小学生?中学生?と間違えられても可笑しくない超童顔で身長も150cmあるかないかくらい。

栗色のショートヘアーは天パなのかふわふわと毛先が跳ねている。



「男は入室禁止だっつってんだろ!八雲だけ入っていい。」



「駄目。荒くれもんの女集団の中に一人で行かせられない。せめて俺か諭吉も入れろ。」



「何を心配してるか分かんねぇけど、昨日のバケモノみたいなの見てこいつの心配する必要ある?お前らよりこいつの方が強そうだけど。」



『……そこ気になるよなー。今度大吉と諭吉とやるか。お前らの実力知りたいわ。』



二人に笑いかけると、二人の顔が引きつってあからさまに嫌そうにした。

私は一人生徒会室に入ると扉が閉まって鍵が閉められた。

後ろから銀聖とたーちゃんが「紺ずるーい」と拗ねていた。

うん、あの二人は入れたくないよな。

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