第46話

「まず、紺ちゃんが最後サボったらあの椅子みたいになるでって脅したやつで全員来るやろ。」



「紺の怪力見て、ドンキーなコングだったことを思い出したぞ!」



『ちょいちょい、ドンキーなコングなわけない!非力で可憐な美少年だろ!?どう見ても!』



軽口を叩き合う私たちが体育館に着くと、そこは最早圧巻だった。

不良たちが和式トイレ座りして厳つい顔で掃除道具を傍らに携えて所狭しと集合していた。

舞台の上には昨日と同じメンバー。

心配していた麟太郎もいた。



『……ども。』



不良たちは舞台まで花道のように道を開けていて、私たちはそこを通って舞台の前まで来た。



「おっはー?紺。」



「早速だが八雲、今日の掃除担当の場所はこれでもいいか?」



そう言ったららちゃんは一枚の紙を私に手渡した。



「さっすがららちゃん、可愛いだけじゃないね?」



銀聖がららちゃんに触れようとすると、ららちゃんの隣に立っていた金髪長髪美女が銀聖の手を叩き落とした。

その叩き落とされた手を擦りながら泣き真似をする銀聖。



紙には、「校庭・体育館・中庭・体育倉庫は鴉。一階・二階・屋上は髑髏。三階は揚羽蝶。その他は裏門。職員室と科学実験室は除く」と筆で書かれていた。



『分かった。ららちゃんありがとう。時間は終わるまでってことで。チェックは僕がしてもいいよね?』



「構わない。」



「いいよー。紺の“お願い”だからね。ららちゃんに色眼鏡使っちゃダメだよー。」



「髑髏もそれでいいよ。」



會田は依然声は出さないが、話は聞いているみたいだ。

ずっと私を睨んでいるが。



『なあ、今更だけどもっと反抗されると思ってたんだよね。』



「汚いのは慣れてるけど、そろそろ臭いに耐えられなかったから丁度いいんじゃんって思った。それに紺は楽しませてくれるからね。」



「私たちは校内清掃提案していたが、そこの會田が面倒臭がる。伊嶋は揚羽のメンバーを抱かせるならとふざけた阿呆なことしか言わないから実現しなかっただけだ。」



そうか、揚羽蝶は人数が少ないからこの学校全部に手は回らないよな。

それに汚している奴は楽してるのとか見るの腹立つよね。



「……清掃会社呼びゃいい。」



『清掃会社に頼んで綺麗にしてもらってるから有り難みも分からず直ぐ汚くなるんだ!掃除の大変さは舐めたらいかん!銀聖はどさくさ紛れに揚羽蝶の女狙うなよ!』



會田と銀聖の前に人差し指を立てて言い放つ。

銀聖は私の人差し指を掴むと、あろうことか口に咥えた。



『うぎゃぁぁぁっっ!!』



「うぶっ!!!」



銀聖の頭に向かって持っていたクイックルな棒を振り下ろした。

大吉と諭吉が持っていた掃除用具で銀聖を滅多打ちにした。

錦は自分のシャツで私の指を拭いてくれようとしたが断った。

私はその指を掲げ、近くにいる麟太郎に向かって突撃した。



「っ!!来るな!!」



「痛っ痛っ!えー!俺の唾液ばっちぃみたいなやつやめてぇー!?結構傷付くよぉ!?」



『キモいわ!!ばっちぃわ!!麟太郎待てやぁっ!!』



舞台の上で走り回って走り回って、捕まらなくて仕方なくユウジにつけようとして逃げられて……狙いが変わったことに足を止めた麟太郎を狙った。

そして麟太郎とユウジは逃げ、他の生徒たちも私が追いかけると逃げていった。



ららちゃんたちもいなくなっていて、残っているのは銀聖と桃里、そして私の友人三人。



「ほんっと、俺をばっちぃみたいにしやがってー!怒ったぞ!?」



『はいはい、銀聖サボるなよ。』



最終的に銀聖の着ている半袖パーカーで指を拭いた。

指はもう乾いていた。

銀聖は頬を膨らませてプリプリと怒りながら体育館を出ていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る