第38話

三人も少し離れたまで下がったが、怒りが収まっていない男たちは私をまだ睨む。

今にも飛びかかってきそうだ。



『なーなー、聞きたいことがあるんだけど。』



「なに?」



『これって、要は品定めだろ?俺が負けたらどっちかに強制的に、勝ったら選べる。』



「そうだよ。」



『毎回それでそろそろ飽きたんじゃねぇの?』



「……何が言いたい?」



今までユウジが私の受け答えをしていたが、初めて麟太郎が私の言葉に反応して眉をひそめた。

私はくしゃみを噛み殺し、悠々と笑って見せる。



『折角体力使うのに、僕になーんにもメリットないなんて可笑しくない?最初に言っておくけど、僕は何処にも所属するつもりはないぞ。だから、提案がしたいんだよね。』



「面白そうじゃん。何が望み?」



銀聖が眼光を研ぎ澄まし、獲物を狙う目で私を舐めるように見る。

視界の端で、大吉たちが困惑しているのが見えた。



『僕が勝ったら、僕のお願いを一つ叶えてほしいんだ。全校生徒でね。代わりに僕の周りに殺気立ってる彼等も、傍観しているだけの蝶々?の人たちも誰でもかかってきていいよ。』



「よっぽどの馬鹿か、自信過剰な勘違い野郎か?」



麟太郎が私を睨みながら馬鹿にしたように鼻で笑った。



「俺はいいよー。面白そうじゃん。」



『銀聖ノリいいじゃーん。蝶々の人たちは?』



銀聖は何がウケたのか、腹を抱えてゲラゲラと笑い転げている。

舞台の上で私を観察する女たちを見つめる。



「……揚羽蝶のリーダー、菊地ららだ。うちのメンバーに危害がないお願いなら了承しよう。」



『うん、誰も危険じゃないお願いにする。僕平和主義者だから。』



三人の女の中の真ん中に立っている一番小さい女……彼女がユウジが言っていたららちゃんか。

たしかにあのグラビアの子に似ている。

めちゃ可愛いじゃん。

あれで喧嘩強いの?最高ですね。



「その言葉忘れるな。」



『麟太郎はどうする?』



鬼の形相で殺気を放つ麟太郎を見ると、奴は何かを思い付いたようにニヤリと笑った。



「お前が負けたら、お前が俺の奴隷になるなら許可しようか。」



「え!麟太郎ずるい!俺も条件出そうかな。紺が負けたら、俺のオモチャになってね。」



『んじゃ、交渉成立ということで───殺ろうか。』



ポキッ、と指を鳴らした音が殺気立った体育館に響いた──────。

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