第34話
『僕じゃなくてここが可笑しい。授業が減るならいいや。椅子に拘束されるの好きじゃないんだよ。』
「紺くん変わってる。そのまま生意気でいてね。」
そう言ってユウジは目を細めて笑った。
『生意気?僕がか?ユウジ、人を見る目を養うべきだ。僕はとても欲望に従順で……ちょっと素直すぎるだけ。』
「諭吉くん、この子アホの子?」
「自称平々凡々何処にでもいる普通の子。」
「脳ミソのネジをお母さんの腹の中に置き忘れてきただけ。」
「そっかぁ」
『ふざけんな!母の腹の中に忘れ物はねぇ!全部貰ってきた!』
アホではないと自負している。
父の異常な程の記憶力の良さを受け継いでいる私は、一度見たものは絶対に忘れない。
参考書も大学までの教科書もいつくもの専門書や論文を全て脳にインプットしている。
まあ、それを理解する脳は自分でどうこうしなければならないから努力した。
理解できないものを記憶しているのは気持ちが悪かったからだ。
それは学業だけでなく、数百いる組員の顔と名前もあの宴会の時に一度で覚えた。
記憶力と運動神経と腕力、そして強運だけは自信ある。
職員室を出て、また廊下を歩く。
『くそ……加齢臭が服に移ったかもじれん。鼻水がぁぁぁ!!ディッジュー忘れだぁぁっ!』
ズルズル鼻水を啜る私はポケットと鞄を漁って絶叫した。
そんな私に諭吉が呆れて自分のポケットからティッシュを取り出すと、袋から二枚目取り出して私の鼻を軽くつまんだ。
ジュルジュルジュル~、と大量の鼻水をある分だけ全力で出した。
「うげぇーっ!!伸びるっ!!二枚で足りない、だと!?きったねぇ!!」
「紺の鼻水は汚くないよ。」
「じゃあ大吉変われよぉぉぉ!!」
「いいよ、貸して。」
『やめろーっっ!!僕にも恥じらいはあるんじゃーっ!!』
みよ~んと伸びる鼻水が収まるティッシュを持つ諭吉の手を払い、大吉が構えたティッシュをひったくって自分で鼻を拭いた。
「「ぁっ……」」
『……。』
私たち四人の視線は地面へ行って止まった。
私の鼻水ティッシュは、諭吉の手から離れてその後───ユウジの靴に不時着した。
「残念なイケメンだなぁ。喋らなきゃ可愛いのに。」
ユウジは私の鼻水ティッシュを手に取ると、ゴミが転がる廊下に放り投げた。
さすが、この汚い学校に通い続けているだけあって、汚れへの嫌悪感がないらしい。
『ねえ、この学校なんでこんな汚いの?』
「えー?掃除するような真面目くんなんかいないし、年末前に一度だけ清掃会社が入って床のゴミは無くなるんだよ。」
自分達の学舎くらい自分達で掃除しようぜ!?
しかも年末からこの真夏の間の半年でこの散らかり様ですか。
あと半年このままで過ごすの!?
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