第18話
「紺って本当面白いな!」
「うん!紺はなんでここに来たの?」
『あー……祖父に呼ばれて。』
「頭、紺が来るって一言も言ってなかった。」
「知ってたら、もっと大騒ぎだったぞ。」
祖父母の会話を聞く限り、祖父は私と母に向こうで会ってから仕事で家を留守にしていたように思える。
言う機会がなかっただけか、それともわざとか。
さっきの祖父の満足そうな笑みを思い出して、腹の中が沸々と荒れる。
短気はダメ短気はダメ。
『んー……そういえば、私荷物玄関に放り出して来てたんだった。取りに行かないと』
「それならさっき、哲司さんが運んでた。」
『哲司……襖第1号か。』
今日は好き勝手暴れたからなー。
これからの生活は報復を警戒しながらだなんて、気疲れしそうで胃が痛くなってきた。
ま、返り討ちにしてやるけどね。
「部屋行こうぜ!また後でな、大吉。」
『ばいばーい。』
「んー!」
立ち上がって部屋を出ていくと諭吉に続いて大吉に手を振った。
諭吉の後ろを駆け足に追いかけると、首にタオルをかけて髪から雫がポタポタと落としている男と話している諭吉。
たしかあの男は……私が池に放り投げた男だ。
「
「ああ……いやー、池の水飲んじまったよ。それより大吉は?」
「向こうの客間で寝てる。水浴びか?池の水とか臭そう……。」
「俺も謝りに行ってくるわ。滅茶苦茶吐いた。胃袋ん中すっからかんになったぜ。しかも風呂入ったのにまだ臭いがする気が……って、アンタ!!」
私に気付いた池ポチャがズンズンと私の前まで来ると私の手を握った。
鼻息荒い顔が近付いてきて、咄嗟に半歩下がる。
しかし、男は私の手を両手で握って私の目を見つめたまま口を開く。
『報復なら正々堂』
「惚れたっ!俺の女になってくれ!いってえええ!!」
「紺はダメ!アンタは一杯いんだろ!?」
「もう紺ちゃんしか見えない!」
池ポチャ野郎は諭吉に蹴られたにも関わらず、彼を一瞥することもなく私だけを捕らえて離してくれない。
『無理、めんご。』
「大丈夫!これから毎日愛を囁くから!」
そう言ってウィンクした男は、私の腰に腕を回して引き寄せる。
『ちょちょちょっ!!』
さっきから、廊下を通る男たちが足を止め殺気を放っている。
祖父がいない今のうちに私に報復をしようとしているに違いない。
くそ、まあ人数は問題じゃない。
問題はこの目の前の池ポチャだ。
腰をがっしりホールドされている。
こいつ、好意を寄せる振りをして私を油断させようとしたな?
私に通じるわけないだろ、池ポチャ野郎。
『フンッ!』
「うぐっ!!!*#¥+@!?」
手加減なしで膝で蹴りあげてやった。
勿論、奴のブツをだ。
そこを抑えて蹲り、声にならない声を上げている男に集まっていた男たちは同情の目と爛々とした目をした。
な、何故目を輝かせる!?
周りを見渡して、私と目があった奴はもれなく自身のブツを守るように手で隠した。
『私を殺りたいなら、いつでも相手してやる。その代わり、それ相応の覚悟をしろ。』
「「「「ヤりっ……!?」」」」
ゴクッと男たちが喉仏を上下させ、私を凝視する。
さっきのを見て、少しでも人数が減ることを願う。
ただでさえさっきので疲れているんだから明日以降にしてくれ。
面倒事はごめんだ。
『おい、何処に顔を赤らめるところがあった!?ドMか!マゾか!?気色わりぃ……諭吉、行くぞ!』
「えっ!?お、おお!」
『なんだ、お前まで熱中症か?』
「……。」
こういえばこいつ水持ってきてくれたり走り回っていたのに水分取ってなさそうだな。
私の飲みかけだが、水のペットボトルを渡すとキョトンっと間抜けな顔をした。
『飲みかけだが、水分取っとけよ。』
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