第17話
一本を私に、もう一本を大吉に渡した。
『さんきゅー!』
「おう!」
「紫織、紺は面白いだろ?会いに行ってから、仕事で電話でしか話せなかったから感動の再会の話を聞かせてあげるよ。」
「じゃあ宴会の時に聞きたいな。皆も紺ちゃんのこと知りたいみたいだからね。」
ここにもいたよ、イチャイチャ熟年バカップル。
人目も憚らず、口付けを交わす二人に吐き気が襲ってきた。
『きも……』
「こ、紺は……アオさんの子供なの!?」
大吉がキラキラと目を輝かせて私を見つめる。
その言葉に、今までいなかった諭吉の頭にははてなマークが浮かんでいる。
「あ、アオさんのってことは……頭の孫娘!?あの!?」
『あのって、どの?』
「頭の孫娘は可愛くて天使のような慈愛に満ちた才色兼備の美少女だって、アオさんが娘さんの話したの組員全員聞いてるよ。」
『……親馬鹿フィルター怖っ!何一つあってねぇじゃん。平々凡々何の取り柄もない普通の女の子よ。まあ、顔はあの母と父のおかげで見た目だけは褒められるけどさ……。』
「……たしかに、ドンキーなコングみたいだけど顔はかっ、可愛いよな。」
「ああ、鉄仮面みたいな無表情でドンキーなコングだけど美少女って言葉は合ってる!」
さっきから笑顔でこいつら人の心刺しに来てんぞ。
なんと恐ろしい……。
「三人とも、夜は宴会だ。紺の歓迎会だよ。大吉はそれまでここで休んでなさい。諭吉は紺をこの間掃除した部屋に連れていってくれ。」
「御意!」
それにしても、何故大吉と諭吉は喧嘩をしていたんだろう。
見ていて、とても仲も良い。
おっとりとした喋り方をする諭吉が兄に「死ねや」と怒っていたのはなんでだろう。
祖父母とみくじさんが出ていって、大吉は大人しく横になった。
『なあ、なんで喧嘩してた?』
「「……。」」
『言いたくないなら聞かないし、首突っ込みたいほど世話焼きでもないからいいけど。仲直りは、したんだろ?』
無言で二人とも首を傾げる。
「喧嘩して謝ったこととかなかった。」
「いつも小さいことですぐあんくらいの喧嘩してるからな。」
男兄弟ってこんなもんなのかな。
私は一人っ子だから知らない感覚なんだろう。
『ふーん。ま、私は賭けに勝ったからいいよ。』
「またあの人たち賭けしてたのか……てか!紺も参加したのかよ!ちなみにどっちに!?」
『え、共倒れに一票。』
「「は!?」」
『だって、見るからに大吉は急所ばっかり狙って当ててたし、諭吉は狙っても巧く決められてなくて……大吉見るからに逆上せてたもんね。』
「っ!それ早く止めれば大吉倒れてなくないか!?」
『止めたところで、自分が逆上せてるのも気付かない奴に何言っても通じるわけないじゃん。おまけに頭に血ぃ上ってて……私が止めるとなればさっきの襖の奴みたいになるけど?』
どうせ止めても「邪魔するな」とか「熱中症!?んなわけあるか!!」と人の話など聞かなかっただろう。
大吉も諭吉もその想像ができたみたいで、「絶対逆ギレしてた」と言った。
『ま、この金で三人で旨いもん食って忘れようぜ!』
「「ナイスアイディア!!」」
結構な大金だ。
この額は豪遊できるぞ。
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