第16話
「頭?」
「あからさまな紺の挑発に乗せられるとは、アイツらも鍛え直さないとなあ。で?紺は何に腹を立ててアイツら挑発したんだ?」
私の頭に大きく硬い手を置くと、ポンポンと撫でた。
『……。』
「ん?紺には余程の理由があってアイツらな暴力したのと違うの?ちゃんと言わないと、いなかった僕には分からないなー。」
『……アンタの仲間は、熱中症で倒れた仲間よりも自分がムカついた小娘に制裁するのを選ぶ薄情者だ。本当にヤバイときの状況判断もできねぇ野郎共に腹が立った。』
私の言葉に、意識が戻った男たちが俯いた。
祖父の視線は部屋の奥で寝ている大吉とうちわと水を持っている諭吉に向かう。
「なるほどね。……お前ら、何か言うことあるか?」
「……頭、申し訳ありません。こ、紺さん……申し訳ありません。」
動ける男たちが畳に額を擦りつけて、私と祖父に頭を下げた。
『チッ……ちっとも分かってねぇな。』
「そうだなー。……僕よりも紺よりも、先に謝るべきは大吉だろ。家族の命より重いもの、あるか?」
基本優しい声音を出す祖父が、低く怒気を孕んだ声に変わる。
威厳ある組織のトップの顔をした祖父は、眼光を鋭く光らせ男たちを見る。
その後彼等は大吉に謝罪して、私を抑え込んでいた男たちは私に土下座をして……なんとも見たこともない恐ろしさだった。
厳つい男たちが大勢、畳に額を擦りつけていた。
そして男たちは全員部屋から出ていった。
残っているのは祖父母と大吉、諭吉、スキンヘッドだ。
「紺様、倅が世話になりました。有難う御座います。」
祖父のお付きのスキンヘッドが私に美しい90度のお辞儀をした。
『倅って……』
「俺は勲様の側近の
『な、なるほど……』
みくじ、大吉、諭吉……何故諭吉はお札!?
「妻が諭吉は大吉と同じくらい運気が良さそうだとごり押ししましたので……俺も気に入っています。」
『うん、良い名前だね。愛情を感じるよ。』
私の名前も、青色と黒色で“紺”色なんだよね。
それを知って凄く嬉しかったのを覚えている。
「二人は紺様と同い年でございます。仲良くしてやってください。」
『それは、あの二人が決めることだね。私も私を敵と見なしてる男たちに囲まれてる中で仲良くしてくれたら嬉しいよ。』
私は起き上がって何かを嬉しそうに話している大吉と諭吉に向かって言いながら、二人の近くに腰を下ろした。
『疲れた疲れた。』
「俺の為に怒ってくれてありがとう。ドンキーなコングみたいで格好良かった!」
『おいおい、女の子をドンキーなコングとは失礼な!』
「いや、まさしくドンキーなコングだった!」
『私も喉渇いたー!諭吉お水頂戴!』
「仕方ねーなあ、大吉の借りもあるから取ってきてやるよ!」
諭吉が廊下を走って行き、それを見てみくじさんが「廊下は走るな!」と先生のようなことを怒っていた。
「紺ちゃん……久しぶり、私のことも……覚えてないわよね。」
やはりこの人は祖母か。
祖父に寄り添っている祖母が私の前に正座するとニコッと笑った。
『すんません。祖父母のことは覚えてないっす。』
「いいのよ!だって本当に小さかった時にしか会ったことなかったもの……。さっきは泣いちゃってごめんなさいね。ずっと会いたくて、会えて嬉しかったの……アオと黒斗くんの両方に似ているわ。」
『母に似てるのは良く言われるけど、父に似てるとは……悪人顔かぁ。父はイケメンだが、ちとジャンルが……』
嬉しいような……乙女心としては複雑なような。
私が首を傾げていると、ドタドタと諭吉がペットボトルの水を2つ持って戻ってきた。
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