第14話

赤髪は走って豪邸の中に入っていった。



『おい、冷房効いた部屋に案内して。』



「お、おお……」



『あと、氷水とか冷えピタとか冷やせるもんと扇ぐもの持ってきて。』



依然私を見る目は険しいままだが、私に敵意がないこととさっきの放り投げに冷静になったのか。

ぞろぞろと私を囲って豪邸の中の一室に案内された。

二人の男もまた、赤髪と同じ方へと消えていく。



通されたのは8畳の程の畳の部屋。

茶髪を寝かせ、戻ってきた赤髪と男たちから物を受け取り、オロオロする男たちにうちわを持たせた。

上半身の服を脱がせ、氷水を体に当てさせる。



「う……ぅうっ……ここ」



「大吉っ!」



『水飲めるか?』



「ん……あっ」



赤髪はさっきまで喧嘩していたはずなのに、心配そうに水を飲むのを頭を少し持ち上げて手伝っていた。



「はぁ……アンタ……だれ」



「あっ!俺は綾瀬諭吉あやせ ゆきち。こっちが俺の双子の兄で大吉。助けてくれてありがとな!」



『私は、』



「あら!良かったあ!大吉起きたのね!」



「「「「姐さんっ!!」」」」



開いていた襖から、着物を着たとても綺麗な……誰かに似ている可愛らしい女性が現れた。

姐さんと呼ばれたその人は、大吉の手を握ると安心したように笑った。

それにしても、私の自己紹介はさっきから阻まれてばかりだ。



「姐さん、すいません……この人が助けてくれたんです!」



「あら……も、もしかして……紺、ちゃん!?」



『どもっ!』



全員の視線が突き刺さる。

さっきまで笑いかけてくれていた諭吉でさえ、私に怪訝な目を向ける。



さっきまで笑っていたはずの女の人は、私を見てポロポロと泣き始めた。

それを見て、大の男たちがオロオロオタオタ……そして私の胸ぐらを掴んで立たせる。



「姐さん泣かせてんじゃねぇぞ!!」



『は?勝手に泣いてんじゃん。お前ずっといたよな?私が何かしたか?何か言ったか?愛想良く挨拶しただけだろ?』



胸ぐらを掴んで男の手を捻り上げ、自分よりも倍以上の体重があるであろう男の服を掴んで襖目掛けて投げ刺した。



案の定、男は襖にめり込んで力尽きた。

そしてその場の全員が、その光景に口を引くつかせた。



「おーおー!!ぶははっ!!!哲司が!!哲司が刺さってるぞ!!」



私が投げた男は哲司と言うのか。

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