第29話

でも、体の痛みがなくても…頬の痛みはあった。



口の中からは鉄の味が広がっていくので、これが血の味だと理解出来るまで数秒かかった。



あ、オレ殴られたんだ…。




「…てぇ。」



そう言って、オレは自分の左頬を抑える。



「マァちゃん!?」



朱希君がそう言って、オレの元に駆け寄ろうとした時に、野次馬達はザワザワしているのがもっと増す。




「おい…大丈夫かよ、あいつ。」



「何だ?何が起こったんだ?」



「先生呼んできた方がいいんじゃねぇか?」





色んな声が聞こえてくるのだが、今のオレにはしゃべる気力がなくてただ座り込んでいた。



だ、駄目だ…。



このままでは騒ぎが大きくなってしまう!!



オレは何としてもそれだけは避けたかったので、何とかして立とうとした時に…







バンッ




そんな強烈な音が教室内に響いたのだ。

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