第42話
大吉を棒で殴った男は三年の髑髏の人間で、あの男が言い出しっぺの一人だったらしい。
怪我は腕は綺麗にぽっきりと骨折、背中の打ち身。
やりすぎると大吉が気を病むと思って抑えられた自制心を褒めてあげたい。
もう一人の言い出しっぺは鴉の三年にいたらしい。
私を殴って振り回されて投げられた男だった。
大吉のところにも謝罪に来た。
私を見ると震えて土下座して謝ってきた。
『僕と殺りたいならいつでも相手してやる。』
麟太郎、銀聖たちも大吉に謝罪してきた。
『諭吉、仕返しとか考えるなよ。』
「分かってる!そんなの何にもならない……でも、俺じゃ大吉を助けられなかった……。強く、ならないと大事なもんは守れない!」
『力が全てじゃないよ。あっ!そんな諭吉くんには良いところを紹介してあげるよ。』
新しい争いの芽が出ないように、私も導ける人間にならなければ。
この話をしたのが二日前。
昨日は諭吉を連れて、父が若かりし頃通っていて私も一時期お世話になった黒崎少林寺道場というところを紹介した。
ここからだと少し距離はあるが通えないほどじゃない。
「耳、治る?」
「お医者さんが言うには鼓膜がやられてるみたい。完全に聞こえないわけじゃないんよ。遠くから僅かに聞こえてる。心配すんなよ諭吉。ららにも言うよ。」
「大ちゃん、僕悲しい。」
「ごめんって!」
大吉は隠していたことを気に病んでいたのと、バレないか気を遣っていた。
今はそれがなくなって顔のこわばりがなくなったようだった。
ららが戻ってきて、私たちは病室を出た。
「あ、百合学生だ……」
「しーっ!」
今回の騒動は外部の人間がいたこともあり、ものの見事に一晩で広まってしまったらしい。
「死人が出た」「悪魔がいた」などといろんな尾びれがついて広まったが、それも鎮静化しつつある。
元より百合学生とは関わり合いたくないからだろう。
そして“そういう”学校だと認識されているから。
「なー、今日も?」
『……ああ。』
そして私はここ数日、あることに悩まされている。
『今のところ何もされないんだよねー。監視されてるだけ。監視されてるって分かってるとストレス溜まる。』
「道場行った時も撒くの大変だったよな。」
『バイトも撒くの疲れる。直接会いに行こうとしたら逃げられるし。』
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