第41話
「大丈夫?」
「うん。毎日来てくれてありがと。ららと会えると思うと入院も悪くないね。」
『うげーっ!!』
「抑えろ紺……うぷっ」
「諭吉くん、君もやで。」
ラブラブカップルには私たちは見えていないらしい。
ららが剥いてあげたリンゴを幸せそうに頬張る大吉。
大吉の頭は検査入院もして調べたが問題なし。
脳の中は出血もなければ骨も折れていない。
運び込まれた時は脳震盪だったが回復して、今は棒がぶつかったところが青紫に腫れてコブができている。
肋骨骨折と打撲が何ヵ所か。
「退院しても暫くは絶対安静でもう一回検査だって。」
『体が痺れるとか視界が悪いとかないか?大丈夫か?』
「紺って意外と心配性だよね。大丈夫。らら、悪いんだけどこれで雑誌買ってきてくれない?」
「うん。」
ららが病室を出て、足音が遠ざかっていく。
『で?』
「いや本当に体はどこもなんともないし、視界もクリア。そりゃ棒当たったところは痛いけどへーきへーき。」
「大吉って意外と体丈夫だったんだな。」
「あの時ららと紺が知らせてくれたからかわそうとしたからもろには当たらなかった。」
『耳は。』
「……親父から聞いた?」
首を振ると、大吉は困ったように笑って腫れている方の耳に触れる。
「あんま聞こえない、かな。」
「っ……なんで」
錦が動揺して声を漏らす。
反応を見るに諭吉は聞いていたのだろう。
大吉の眉間にシワが寄り、困ったように笑った。
「ららには言うなよ。」
『ああ。お前が言うんだ。この先隠しておけないぞ。僕は大吉を見てて気付いたんだ。心配させるから言わないなんて思いやりでもなんでもない思い上がりだ。』
「っ……。」
ららは違和感に気付いてる。
左から話しかけた時、大吉の反応が鈍いことを。
気付いてて、聞けずにいるのだろう。
もしかしたら二人の時に聞いたかもしれないが、ららを悲しませたくない大吉が素直にいうわけない。
「大吉、もうららに隠すのやめよ。」
「……うん。あーあ、諭吉と親父以外にはバレないと思ったんだけどな。」
『隠せてたよ。ただ、家族にずっと隠し続けられると思うなよ。』
「ごめん。それと、ありがとな。紺が助けてくれなかったらもっとヤバかったと思う。」
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