第71話
夏休み初日から私はお隣さん宅に入り浸っている。
二人の内どちらかは家にいて、もう一人は溜まり場と呼ばれる場所にいるんだとか。
きっと私がいなければ二人は揃って溜まり場にいるのだろうが、私の相手を交代交代でしてくれている。
透と遊びに行く時もあるが、夏休みに入ってから真白とは会えていない。
なんでも、敵勢力が“姫”と呼ばれる立場の真白を狙っているのだとか。全く迷惑で可哀想な話だ。
必ず仲間の誰かといるか、溜まり場にいるらしいが私はその溜まり場とやらには行きたくなくて杏璃や大門に誘われても断り続けている。
そして、私は最近気づいたことがある。
「紫苑、変な奴に出くわしたら教えてね。遭遇しちゃったら逃げるんだよ。」
まるで子供に言い聞かせるように優しく、しかし言うことを聞かせるような重圧と強さが込められた口調で甘い笑みを浮かべた杏璃が私の頬を撫でる。
『ん?なんかあった?』
「臨海学校で帝と紫苑が会ったって言う【闇王】とかいう奴等が彷徨いてる。俺たちのこと、嗅ぎ回ってるみたい。」
『大丈夫。自分の身は自分で守れる。』
「紫苑が心配なんだよ。」
私の弟たちは過保護で心配性だということだ。
私がコンビニに行くだけでも着いてくる始末。
私は二人といられるのだから構わないが、二人は他の人との関わり方を見てもっとクールだと想像していたが実際は甘々だった。
気づいた、と言うほどの内容でもないが正直、心配されるのは嬉しい。
『杏璃も帝も大好きだよー』
「っ!そういうの、外で言わないでね!」
『恥ずかしがらなくていいのに。』
「照れるから……。」
見てください。
照れると言って顔半分を隠して朱に染まった頬を隠し目を逸らす仕草。
鬼可愛い。これを萌えというのかな。
『ぎゃんかわ……』
「それ、何処で覚えた言葉?」
『テレビ。あ、三人でおでかけとかしたいな。夏だから、空に上がる花火見たいし、すいかも食べたい。あとなんだろ。』
大きい花火は、仕事終わりや任務中に建物の間から遠くで上がる花火を見たことがある。
初めて見たそれは、直ぐに消えてしまったけどその眩しさと美しさだけは脳裏に焼き付いていた。
スマホで花火で検索すると、来週大きな花火大会というものが行われるらしい。
大会ということは、花火で競争でもするのかな。
とても楽しそうなのことは間違いない。
上機嫌で花火大会のページを見せると、杏璃が困ったように笑いこめかみを掻く。
「うーん……その花火大会は此処等で一番大きいから人が多いんだ。俺たち紫苑が一緒にいるの見られたらちょっとまずいかも。」
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